やっと来た春を楽しむ野良孔雀 (4月22日、2006年)


ここバークレーでは、今年の春は雨ばかりで憂鬱な毎日でした。
三月に雨の降らかったのは3、4日しかなく、
4月に入っても雨続きで、8年前のエルニーニョ以来の降り方だそうです。
我が家のCrabapple「かにリンゴ」の花も五分咲きのまま葉が生い茂り始め、
満開の花を楽しむ機会を逸してしまいました。

又、近所の桜の開花も一ヶ月近く遅れ、桜の花の写真が撮れたのはつい二週間前のことです。

でもやっとここ一週間、太陽が満喫できるカリフォルニア気候になりました。
この太陽を楽しむように、
近所に住む野生の孔雀が、
自分の町並みを悠々と散歩する姿を写真におさめる事ができました。ご紹介します。



前々から、僕達の犬の散歩コースで一羽の孔雀を見ていたのですが、
近所の人が飼っているものとばかり思っておりました。
アメリカ夏時間でまだ太陽が高い夕方7時頃、
帰宅途中にその孔雀が堂々と道を横切って行くので、
車を止め、しばらくその孔雀と一緒に歩いて行きました。
たまたま近くの家の人が出て来たので、
「誰の孔雀だろうか」と聞いたところ、
その人は「野生だ」と言うのです。
えさを時々与えている人もいるそうです。



そんな時、『ほらもうすぐ羽を広げるわよ』と教えてくれました。
急いで車に戻ってカメラを取ってくると、
本当にガレージの前で大きく羽を広げ、
いかにも美しい姿を見てくれと言わんばかりに、回転しながら踊っておりました。
その人はいつ羽を広げるのかよく知っているのですね。感心しました。




このクジャクに気がついた別の車から高校生が三人おりてきて、
僕達と同じように感激して見ておりました。
その時、そばを車のジャガーが通り過ぎたのを見て、
一人が「あんなジャガーが欲しい」と言ったのを、
もう一人がすぐ、「僕はジャガーより、この孔雀が欲しい」と言ったので皆笑ってしまいました。



その近所の人の話では「結婚相手を探している」のだそうだ。
そこで、僕の友人でコラムニストの青柳君が、
少し資料を集めると正確な話が書けると教えてくれたので、真似をしてみました。


考えてみれば当然ながら、
ピーコックとは雄の孔雀で、雌はピーヘン
(Pea Hen) で、
雄雌区別をしない孔雀の呼び名は
ピーフォウル(Peafowl)と呼ぶようです。
ピーコックが完璧な羽を持つには三年かかるそうで、
結婚シーズンに雌の気を引こうと、大きく羽を広げ、特に後ろ姿を強調するのだそうです。
でも大半は雌から無視されるようです。
人も同じですね。

野菜、果物、花や虫を餌にするのですが、
人から与えられるパン、チーズ、ご飯を好み、猫のえさはピーコックにとって最適なようです。
きっとわが町の野良孔雀も、近所の人が飼っている猫のえさを食べながら、
夜は木に飛び乗って過ごしているのでしょう。

今の時期、3月から8月までが結婚、子育ての時期だそうで、
近所の人の話は正確でした。
8月になるとその美しい羽がぬけるので、
そんな時は、ピーコックの後を追いかけ、
美しさが台無しになる前に抜け落ちた羽を拾い集めるのだそうです。
一日で全て抜け落ちることがあるくらい急激に抜け落ちると資料にありました。

僕も8月を楽しみに待ちたいと思います。
野生の孔雀にとって、犬やラクーンが危険な相手だとのことで、
僕達も犬の散歩の時は気をつけなくてはいけません。
しかし、こんな町中では何よりも車が一番危険です。
ピーコックは光り輝くものが好きで、車はお気に入りな相手の一つだそうです。
僕達もあのピーコックが車のフロントバンパーに自分の姿を映し、
僕達が近づくのも気づかず集中して、
自分自身を見入っているのを目撃しましたが、
こういうのもピーコックの習性だそうで、
車の発進、後退には注意が必要だと警告されておりました。


また、いずれピーコックの後日談ができれば幸いです。

 

芳則